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設計判断 2026-09-03

AI エージェントに開発マシンの鍵を渡していいのか。借り物のサンドボックスを実測して、9 案を比べた

夕暮れの書斎。机の上に閉じた木箱と鍵束が置かれ、奥の扉がわずかに開いて暖色の光が床へこぼれている編集イラスト

AI エージェントの作業場として借りている Linux サンドボックスから、Claude と ChatGPT のサブスクリプション認証を引き上げました。規約違反だったからではなく、自分が管理していない実行環境に、失うと痛いアカウントの認証を置いていたからです。そして調べている途中で、引き上げた先の自分の開発マシンには、境界が 1 本も引かれていないことに気づきました。実測のコマンド出力と規約の条文、9 つの選択肢の比較まで。結論はまだ出ていません。

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この記事のテーマ

各リポジトリの設計書とメモを、Windows の開発マシンと借りている Linux サンドボックスの両方から読めるようにしたい。始まりはそれだけでした。ところが計画書に書いてあった前提を実機で 1 つずつ確かめたところ、3 つとも崩れました。箱は永続ボリュームを持たない使い捨てのコンテナで、しかもその寿命を握っているのは提供元でした。共有したかった 1.3GB の実体は、Markdown 6.1MB でした。

途中で「借りている箱に、他社のサブスク認証を置いていいのか」という問いが出ました。条文を引くと、禁止されているという根拠は見つかりません。代わりに見つかったのは、その箱が 12 か所の資格情報を 30 秒ごとに外部へ複製する仕組みを持っていたことでした。本当の問いは規約ではなく、預け先のほうにありました。

借りている箱と自分のマシンのどちらに境界があったかを 1 枚にまとめた要約図

記事全体の要約。境界のない現状、9 つの対策案、実測から得られた教訓。

音声で聴く(AI ラジオ解説・24 分)

この記事を NotebookLM でラジオ風に音声化したものです。移動中や作業しながらでもどうぞ。

引き上げた先に、壁が 1 本も無かった

一日じゅう「借りている箱に何を預けるか」を考えていて、最後に気づいたのがこれでした。認証を引き上げた先の Windows マシンは、同じベンダーのアプリが「常に許可」で実行できる場所だったのです。しかもそのマシンには、サーバーの接続情報も SSH の鍵 7 本も顧客のナレッジベースも、全部そろっています。

境界になりそうなものを 3 つ実測しましたが、どれも効いていませんでした。開発ツリーの権限設定のせいでユーザーを分けても素通りし、AI アプリの実行許可は常に許可のまま、別の AI ツールは承認なしの全アクセス設定でした。

1 台のマシンに置いてある機密資産と、境界になりそうな 3 つの手段がいずれも効いていないことを並べた図

1 つ締めても隣が開いていれば意味がない。いちばん緩いツールが、そのマシンの実際の境界になる。

安全さだけで選ぶと、使われなくなる

取りうる手を 9 つ並べて、分離の強さで順位を付けました。1 位は専用の仮想マシンです。そこに「どの案でも、ふだんどおりアプリを使えないと意味がない」という指摘が入り、評価軸が 1 本足りていなかったと分かりました。

使い勝手の軸を足すと順位が入れ替わり、第一候補は制限ユーザーと ACL の組み合わせになりました。分離では最強だった専用 VM は、日常操作がリモートデスクトップ越しになるので落ちます。捨てるのではなく、夜間の自律作業の受け皿として後から足す位置づけに変えました。

分離の強さと日常の使い勝手の 2 軸に 9 案を配置し、採用できる領域に残った 2 案を示した散布図

どれだけ安全でも、ふだんどおり使えなくなる案は採用されない。使われない対策は、守ってくれない。

検討シート(マスク版)

9 案と残る 4 論点をまとめた検討シートを、固有名を伏せた形で置いてあります。単一の HTML ファイルで、案ごとにメリットとデメリットと採用ボタンがあり、選んだ内容を Markdown で出力できます。

開発ローカルの権限を AI にどこまで渡すか(検討シート・公開版)

この記事で触れているツール

複数の AI コーディング CLI を並列で走らせ、承認をブラウザ 1 タブに集約するローカルダッシュボード many-ai-cli を作っています。リポジトリは GitHub にあります。