「目的・目標・戦略・手段」は、言葉としては正しい。でも現場の会話にそのまま持ち込むと、案外うまく伝わりません。抽象的な言葉を、現場で使える問いに翻訳すると、仕事の優先順位が揃いやすくなる。そんな考え方を書いたエッセイの要約版です。
抽象語を問いに置き換えると、議論の方向が揃いやすくなります。
「目的」と言われても、人によって思い浮かべるものが違います。「戦略」と言われても、業務の話か、組織の話か、実装順の話かがズレる。言葉は合っているのに、議論の方向は揃いません。そこで、抽象語を次の問いに置き換えています。
新しい案が出たとき、いきなり否定したり正解を教えたりせず、「それで、誰が、何が、どう嬉しくなるんですか?」と聞きます。話を手段から価値へ戻せるうえに、相手を責めずに、考える階層を一段上げられるからです。「その案は違う」と言われると人は身構えますが、「誰が嬉しいの?」なら立ち止まって考えやすい。
答えを教えるのではなく、考えやすい問いを渡します。
たとえば、不具合や改善要望を受け付ける窓口。困りごとをすぐ送れて、現場の声が集まって、一見良さそうです。でも、誰が確認し、誰が分類し、誰が優先順位を決め、誰が回答するのか。窓口は数時間で作れても、運用の仕事はその日からずっと続きます。複数の部署や会社が使う共通サービスでは、機能を作る前に、運用の設計が先です。
どこか1つでも担当が決まっていないと、窓口は止まります。
AIのおかげで、形にする速度はどんどん上がっています。だからこそ、実装の前に考える時間の価値が上がっていると感じます。作れることと、作るべきことは別です。以前は「目的・目標・戦略・手段を整理しよう」とそのまま伝えたくなりましたが、相手の理解が浅いと決めつけず、考えやすい問いに置き換えるほうがうまくいく。少し大げさに言えば、仕事における思いやりだと思っています。
次に誰かが新しい案を出してくれたら、まずこう聞いてみようと思います。細かい例や図は、全文にまとめています。
窓口の例の続きや、実装の前に置く問いの図は、note の全文に載せています。