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エッセイ 2026-10-14

情報系の専門学校は「5年持たない」かもしれない。元IT専門学校教員の、まだ根拠のない予測

夕方の光が差し込む教室の机にノートパソコンと開いた本があり、窓の向こうに複数のモニターが並ぶ作業机と山並みが見え、右下に2匹の猫がいるヘッダー画像

2026年2月に「専門学校の情報系コースは5年持たないんじゃないかな」とXに書きました。あれから約8か月、AIエージェントでシステムを作り続けても、その考えはあまり変わっていません。ただし、これはまだ根拠のない予測です。なぜそう思うようになったのかを書き、群馬県内の専門学校の調査は次回の記事でやります。

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音声で聴く(AI ラジオ解説・22 分)

この記事を NotebookLM でラジオ風に音声化したものです。移動中や作業しながらでもどうぞ。

2月に書いた「5年持たない」を、もう一度考えてみる

2026年2月22日の投稿は、数字の裏付けがなく、ほぼ直感でした。学校法人が倒産するという意味ではなく、従来型のプログラマー養成教育が職業教育として成り立ってきた前提が崩れるのではないか、ということが言いたかった内容です。かつて自分でコードを書いて仕事をしてきた人間が、今はほとんどコードを書かず、AIエージェントに実装・テスト・修正を繰り返させている。その実体験から、同じ結論に戻ってきます。

そもそも、プログラミングを教えていた側だった

2012年4月から2017年3月までの5年間、群馬県内のIT系専門学校で教員をしていました。SQLのように、頭ではわかっているつもりでも手が止まる経験を実務で埋めてきたので、初級・中級の仕事は、将来の上級技術者を育てる訓練の場でもあったと思っています。

2025年11月ごろから、コードを書かなくなった

約1年前から、エージェントに作業全体を任せる開発へ変わりました。以前なら1年、2年かけた規模のものを、条件が合えば数日で組み直せることもあります。これは測った数字ではなく、自分の開発現場での体感です。直近半年はGo、TypeScript、Rustも相当使っていますが、自分の手では書いていません。

IT技術者の仕事と学習について、これまで、現在、次の論点の3列で、技術を学んで自分でコードを書く形から、AIが調査・実装・テストして人間が確認する形、さらにAIがAIを統括する形へ移る流れを示した概念図

技術を学んでから作る形が、目的を決めてAIに調べさせ作らせる形へ移ってきた、という概念図です。すべての仕事が同時にそうなるという意味ではありません。

電話交換手、座席予約、将棋、数学の証明

技術が仕事を変える話はAIが初めてではありません。電話の接続を人から自動交換機へ、国鉄の座席予約をMARS-1へ、将棋は人間の経験と直感からAIの探索へ。AIが書いたコードの正しさを検証する側も、AlphaProofのように機械が確かめられる形で証明を出す研究が進んでいます。ただし、証明できるのは形式化された前提と仕様に対する正しさで、顧客の本当の目的に合っているかまでは保証されません。

初級・中級エンジニアがいなくなると、誰が上級になるのか

初級プログラマーの仕事は、企業の生産活動であると同時に、次の技術者を育てる訓練でもありました。その入口がAIに置き換わると、情報産業の人材育成が空洞化する可能性があります。一方で、上級の仕事までAIが肩代わりするなら、人間の上級技術者を同じ人数育て続ける必要があるのか、という反論も出てきます。どちらも、今の時点では答えが出ていません。

夕日が差し込む教室で、高い位置に残った窓へ続く、下の段が抜けた木のはしごを、リュックを背負った学生が見上げているイラスト

上の段は残っているのに、足元の段が抜けているはしご。初級の仕事という最初の段がなくなったとき、次の世代はどこから登ればいいのか、という引っかかりを絵にしてもらいました。

FDE、管理職、顧客の要求、人間社会の不文律

Forward Deployed Engineer(FDE)のような「全部のせ」の職業も、過渡期かもしれません。管理職の仕事の一部もAIが助けるようになり、顧客が本当に欲しいものの見極めや、人間社会の不文律、誰が決めて責任を引き受けるのかという問題は残りそうです。AIは写真や動画が証拠になる前提まで揺さぶっていて、「人間にしかできない」と思っていた前提が動いていく点は、どの分野の話でも共通しています。

写真、電話の接続、座席の予約、将棋、数学の証明など、人間にしかできないと思われていたことが動いてきた1827年から2025年までの年表

並べてみると、「人間にしかできない」と思われていたことが、この200年ほどの間に何度も動いてきました。右端の2025年は、自分がコードをほぼ書かなくなった時期です。

専門学校は、何を売る学校になっていくのか

高度な研究は、むしろ国家にとって必要になります。問題にしているのは、初級プログラマーを大量に育てて企業の実装作業へ送り出す、という職業教育のモデルです。学校は今の入学者数を増やす必要があり、学生が必要なのは卒業後5年、10年、20年にわたる仕事の入口です。この2つの時間軸は、必ずしも一致しません。

学校が学科を企画して卒業生を送り出すまでの約3年と、卒業した学生がその後20年以上働く時間のずれを示した模式図

学校が学科を企画して卒業生を送り出すまでは3年ほど。一方、卒業した学生はそこから20年以上働きます。

この予測が外れるとしたら、どんなときだろう

外れる道筋も先に書いておきます。AIで作れるものが増えてシステムを作りたい会社や人がむしろ増える、専門学校のほうが先に変わる、「AIを学びたい」という理由で情報系に入る学生が増える、数字が減ってもその理由がAIではない。どれか一つでも当たっていたら、予測はかなり修正が必要です。

1校だけ、公開資料をのぞいてみた。でも、これは根拠にならない

中央情報大学校が公表している修学支援制度の確認申請書で、2年制の情報システム学科の在籍者数は2023年度の208人から2025年度の136人へ、2年で約34.6%減っていました。ただし、同じ学校の4年制の高度ICTデザイン学科は5年間ほぼ定員どおりで、これは入学者数ではなく在籍者数です。この1校の1学科の数字だけで「群馬県の情報系専門学校の学生が減っている」「原因はAIだ」とは言えないので、予測の根拠にはしません。

中央情報大学校の情報システム学科について、2021年度から2025年度の在籍者数を棒グラフ、生徒総定員数を点線で示したグラフ。在籍者数は143人、197人、208人、180人、136人

在籍者数は2023年度の208人から、2025年度は136人。入学者数ではなく、その時点の在籍者数です。

次回は、群馬県内の情報系・IT系の専門学校を数字で確かめます

次回は、群馬県内の情報処理・システム開発系の専門学校について、直近5年間の新入生数を学校ごと・学科ごとに並べます。資料は各校の公表資料と、国の学校基本調査から集めます。数字が減っていたとしても、それだけでAIが原因とは決めません。この調査は、自分で動かしている自律型のAIエージェント、dotsに任せる予定で、かかった時間や間違えた箇所、人間が確認した時間も記録します。

参考