日本のiPhone Duo(256GB)は36万4,800円。「年収400万円で40万円なら1割」という感覚は、ほかの国ではどうなのか。各国の所得と価格を並べ、Appleが誰に売ろうとしているのかを、データで言えることと言えないことに分けて考えました。
使ったのは、World Inequality Database(WID)の、20歳以上の大人1人あたりの税引き前の国民所得の中央値です。給料や手取りではありません。現地通貨どうしで割っているので、為替レートの選び方で順位は変わりません。
小さい順に、シンガポール3.6%、米国3.8%、英国5.5%。日本は9.4%、韓国9.8%、中国25.6%、ブラジル76.9%、インド222.5%でした。日本の比率は、最初の「1割」の感覚と近いところにありました。ただ、例の年収とWIDの所得は同じ定義ではないので、近いと言えるのはそこまでです。
Duoの価格の10倍以上の年収がある大人を所得の分布から数えると、米国82.3%、日本53.1%、中国12.5%、インド0.8%。価格を確認できた15市場の合計は約6.3億人でした。一方、2026年内のDuoの出荷予測は600万台(アナリストの予測)です。単位も期間も違うので、ここから「買えるのにAppleが売らない」とは言えません。
iPhoneを使う人の広がりは、StatCounterのWeb閲覧の割合で見ました。2026年第3四半期の暫定値は日本62.9%、米国57.9%、世界31.6%。閲覧数の割合なので、「日本人の62.9%がiPhoneを持っている」という意味ではありません。純資産100万ドル以上の大人の数(UBS)も見ましたが、住宅などを含む資産なので、端末に使えるお金までは分かりません。
Omdiaの2025年の資料では、折りたたみは世界のスマートフォン出荷の1.0〜1.5%前後です。年が明記された数字でも、TrendForceの2024年が1.6%、Counterpointの2025年第3四半期が2.5%でした。「10%」に近い数字は、ABI Researchの2030年の予測(9.8%)や、Counterpointの欧州の800ドル超の価格帯の2028年予測で、現在の世界全体の実績ではありませんでした。
Duoの600万台を、IDCによる2026年のスマホ全体の予測10.9億台で割ると約0.55%です。今の割合に対して小さくない大きさですが、純増とは限らず、予測どうしの比なので、1年目で世界の割合がどう動くかは、この数字からは言えません。
考えられる説明は4つです。わざと絞っている、作れる台数が少ない、値段が買う人を絞っている、初代は様子を見ている。同時に成り立つこともあります。所得、資産、Web閲覧の数字に供給の報道を加えても、どれなのかは区別できない、というのが今回の結論です。
次に見たいのは、届くまでの期間と出荷の実績、そして2代目以降の価格と選択肢です。初代の予約の勢いだけで結論を決めないようにしたいと思います。
15市場すべての数字、今までのiPhoneとの比較、出典の一覧は note の全文にまとめています。